貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希|無料画像】

貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希】

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著者:岩葉純希

 

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 画像とストーリー

レッスンスタジオで発生した火事に巻き込まれて死亡した人気アイドル明星きらら。
きららの死亡は全国区ニュースとなり、事務所にも大きな打撃に・・・

ところがその火災事故から1か月後、きららはとある病院の一室で目を覚まします。
自分はあの日の火事で大やけどを負ったはず。
なのに今のきららの身体にはキズひとつありません。
病室のテレビでも、きららの怪我は軽く、快調であるとニュースが流れています。
「なぜ・・・?」
自らに起こったことの記憶と現実が食い違い、混乱するきらら。

 

実はきららは死体で、それを仕組んだのがきららのマネージャー成田でした。
成田は火事の後、蘇生を行う魔女カスミのもとにきららの遺骨を持ち込みます。
カスミはきららの蘇生を請け負うのですが、あることを肝に銘じておけと成田に伝えます。

そして、死体として復活したきらら。
命に別状はないようですが、カスミの言う「あること」とは・・!?

 

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貴様は死体だが、命に別状はない。 (1話ネタバレ)

貴様は死体だが、命に別状はない。 第1話

蘇命庵ノ魔女

「もう一度、会いたい」
都内のスタジオで起こった火事。
そこから運び出された「誰か」
真っ黒に焦げていて素人目に見ても助かるとは思えません。

 

「おい、きらら!」
救急車の中で「誰か」に男が必死に呼びかけますが、反応はありません。

 

 

その火事からしばらくして
東京花道クリニックの病室。
そこに寝ていたのは今日本で一番人気のアイドル明星きらら。
「ん・・・」
目を覚ましたきららが見たものは、自分のシングルがオリコン1位になるニュースでした。
「私は・・・確か・・・」

 

きららの記憶では都内のスタジオで火事が起き、それに巻き込まれてしまったのです。
まだ頭が混乱しているきららですが、その火事の事を伝えるニュースが流れてきます。
「先月起きたレッスンスタジオの火事でも幸い、軽傷で済み経過も良好と所属事務所が発表・・・」

 

「嘘!そんなはずは!?」
きららの記憶では火に巻き込まれて大やけどを負ってしまったはずです。
しかし、目の前にある自分の身体は火事の前と同じ。キズひとつないのです。

 

混乱するきららですが、これにはある事情がありました。
火事の当日、きららに付き添っていた男、彼はきららのマネージャーで成田五郎といいます。
彼が事故の後亡くなってしまったきららの遺骨をもって訪れたのは「蘇命庵(そめいのいおり)」。

 

ここは死んだ人を蘇らせることができる場所だったのです。
もちろん成田自身も信じ切ってはいませんでしたが、一縷の望みをかけてここを訪れたのです。

 

半信半疑ながら蘇命庵の前に立つ成田。
「あの人はたしか、コレを持っていれば開くって・・・」
成田が左手に抱えているのは小さな紙袋。
この袋の中に「コレ」が入っているという事でしょうか?

 

意を決したように扉を開く成田。
「あの人」の言葉通り、ドアは簡単に開きます。
ドアを開けた途端、室内に置いてある置物の猫が鳴き、鎧が動き出す怪しい場所でした。
しかし、室内は意外に明るく、窓際に座っている人影も見る事ができます。

 

「マスター、お客さんだよ」
部屋の中央にある緑のソファに座ってギターを弾いていた若い男が、窓際に座っている人物に話しかけます。
その人物は、意外にも若い女で成田に持好意的に接してくれます。
「ようこそ、青年。そこにかけたまえ」
「ほら、赤音、お前にとっての初の客さんだぞ。茶でも淹れろ」

 

どうやらギターを弾いていた若い男は赤音というようです。
成田がソファに座ると、そのまずーたと言われた女の子は率直に聞いてきます。
「では、伺おうか。我が蘇命庵に蘇らせて欲しい魂の事を」
「名乗り遅れたが私がここの魔女カスミだ」

 

霞と名乗った女の子は赤音が淹れたお茶を手を使わずに宙に浮かせて受け取ります。
まさに超常現象なのですが、成田はあらかじめ聞いていたのかあまり驚きません。

 

成田は自分の名前を名乗ると、事のあらましを話し始めます。
「え!マジで!?明星きららのマネージャーなの!?」
話し終わる前に、赤音が成田の話に喰いつきました。
まあ、大人気アイドルのマネージャーと判れば、普通の男としてはごくごく普通の反応です。

 

「やかましい」
指先をちょっと動かしただけで赤音をふっとばし、黙らせるカスミ。
赤音の普段の扱いがしのばれます・・・

 

「先日の火災事故か・・・心中お察しするよ」
成田が見せた携帯のニュースには
「人気アイドル 明星きららさん死去」
とはっきり出ています。

 

「売れっ子が死んだんだ。事務所としては大きな痛手だろう」
どうやらカスミは成田が事務所の命令でここに来たと思っているようです。

 

ですが、成田は違いましした。
もちろん、事務所の事情もあるのですが、それ以上になり谷はきららを蘇らせたい理由があったのです。
「僕は生前の彼女に酷いことを言ってしまったんです。」
「謝りたくて・・・伝えたいことがあって・・・」

 

「そうか・・・君の気持ちは分かった」
(それにしても・・・)
カスミは表面上は成田の事情に同情しているようです。
しかし、それ以上に何かが引っかかったようです。
とはいえ、それを詮索することもなく、必要な手続きに移ってしまいます。

 

「それでは、遺体の確認を」
成田が持ってきた紙袋の中身、それはきららの遺骨だったのです。
「これだけしか持ち出せなくて」
というあたり、どうやら正規の方法を踏まずに持ち出したようです。

 

それを確認したカスミは、これだけあれば黒魔術の行使に十分だといい、契約書を取り出します。
契約書に記載の金額を振り込み次第、きららを蘇生し、所定の場所に戻すというのです。

 

本来ならすぐにでもサインしたいはずの成田ですが、何かを考え込んでしまいます。
それを鋭く察したカスミは
「信用できないか?」
と問ってきます。図星を突かれた成田ですが、カスミは気分を害した風でもなく、壁際に飾られている蝶の標本を手に取ります。
「自分が胡散臭い奴であることは自覚しているよ」
カスミは手に取った蝶の標本を握りつぶし、ぐしゃぐしゃにしてしまいます。
その後、カスミの手が光ると・・・
先ほどぐしゃぐしゃにつぶしたはずの蝶は何事もなかったかのようにひらひらと飛び始めたのです。

 

「君が信用してくれるなら・・・私は全力で応えよう。それが仕事というものだ」
目の前で蘇生した蝶を見せられて否が応でも信用するしかなくなってしまった成田。
しかし、カスミはその成田に一つだけ忠告をします。
「だが・・一つだけ、肝に銘じてほしい」

 

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貴様は死体だが、命に別状はない。 感想

貴様は死体だが命に別状はないって、意味不明だと思っていたら、無理矢理蘇生させられたアイドルが主人公って設定でした。
明星きららは第1話冒頭でいきなり火事に巻き込まれてしまいます。
そのきららに必死に呼びかける男がマネージャーの成田です。
最初は名前が明かされないから親子か恋人かと思いましたよ。

 

でも、岩葉純希さんの貴様は死体だが、命に別状はない。はそんなベタな設定ではなかたったです。
アイドルがいきなり火事で死んで復活。でも、タイトルの「貴様は死体だが、命に別状はない。」を見る限り、きららは死体であることは変わりないようですね。
つまりきららは普通の人間とは根本的に異なるという事。命に別状はないといわれているので、普通に生きることはできるのでしょうけど、何か他の部分で致命的なデメリットがありそうです。
その事は「貴様は死体だが、命に別状はない。 第1話」のラストで蘇命庵の魔女カスミが「一つだけ肝に銘じておいてほしい」と言っているあたりからも推測できますね。

 

でも、それが何なのかは具体的に明らかにされていません。
きららはアイドルという職業上、人前に出ることも多く、しかも完璧が求められる存在です。
にもかかわらず死体になってしまい、それを隠し通さないといけないのですから、この先色々を事件が起こりそうな予感です。
さらには成田に蘇命庵の存在を教えて「ある人」というのも気になります。
これが誰なのか全く不明で、成田が接触できた経緯も不明です。
もしかしたら、この「ある人」は今後の物語のキーマンになってくるかもしれませんね。

 

また、この作品のタイトルは「貴様は死体だが、命に別状はない。」なのですが、これってカスミのセリフですよね。
少なくともきららのセリフではないはずです。
ちょっとうがった見方をすれば本当の主人公は蘇命庵とカスミ、という考え方もできますね。
そうなると、場合によってはきららはバッドエンドかも・・・
岩葉純希さんの作品は林檎裁判でもそうでしたが、結構登場人物がぱたぱたと退場していくので、きららバッドエンドもあるかもしれませんね。

 

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 登場人物

明星きらら
大人気アイドル。
レッスンスタジオの火事で死亡するが、死体のまま蘇る。
1か月後にドームでのコンサートを控えている。
デビュー曲は「アゲハ唄」で、相当の思い入れがある模様。

 

 

成田吾郎
きららのマネージャー。
きららの蘇生をカスミに依頼した張本人。
きららに対しては、マネージャーという立場以上の感情を持っている模様。
実はきららの死の直前「酷いこと」を言ってしまったことを悔やんでおり、謝りたいと思っている。

 

カスミ
蘇命庵の主で魔女。
蘇生の黒魔術を行使する事ができ、それを仕事としている。
死者の魂をかりそめの肉体に縫い付けることで蘇生を行使する。
ただ、完全な復活はなく、どこにかに綻びができてしまう。
カスミ自身もそのことは知っているが止める手立てがない。

 

きららに対しても同情的で意外と優しいが、赤音に対しては結構スパルタ。

 

赤音
蘇命庵で働く若い男。
最近働き始めたようで、成田が初めての客。
きららの大ファンで、きららのことを「きらりん」と呼ぶ。

 

フラン
蘇命庵に飾ってある頭蓋骨。
しゃべる事ができ、赤音よりかは長くいる模様。
骸骨なのに長髪&帽子と意外とおしゃれ。

 

 

貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希】

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著者:岩葉純希


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