貴様は死体だが、命に別状はない。 2話ネタバレレビュー

貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希】

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著者:岩葉純希

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 (2話ネタバレ)

第2話

少女の過去

 

「だが、一つだけ肝に銘じておいてほしい。完全な再生はあり得ない」
人気アイドル明星きららのマネージャー成田が訪れた蘇命庵。
そこで魔女カスミにきららの蘇生をお願いするのですが、カスミは完全な復活はないといいます。

 

「貴様は死体だが、命に別状はない」というタイトルにあるように、逆説的に何らかのペナルティがあるとという事でしょうか?
ただ、そのペナルティの内容はカスミにも判らないようですが・・・

 

 

一方、病院のベッドで目を覚ましたきらら。
「私はあの時、火事で死んだはず・・・」
きららの記憶では確かに火事に巻き込まれたのですが、今の自分はなんともありません。
形態のニュースを見ても「任期アイドル明星きららさん事務所「経過は良好」」となっています。
少なくとも火事にあった事は事実のようですが、その後の状況がきらら自身の記憶と大きく食い違っています。

 

(夢にしては妙に生々しかった・・・)
自分の身の上の事なのに記憶があいまいなのです。

 

そこに病院のナースが点滴の交換にやってきます。
「て、点滴お取替えしますね」
彼女は一応笑顔ですが、ひきつった事務的な笑顔です。
何かおかしいと感じつつも、きららはどうしても確かめたいことがありました。

 

「あの・・・」
「はっ!はいっ!!」
おびえるようなそんな表情。
もちろんきららにはその理由は判りません。
「私、本当に火傷で済んだのですか?」

 

自分の記憶とニュースの齟齬について問いただすきらら。
「・・・何言ってるんですか?明星さん。きっと麻酔の影響で混乱されているのかもしれませんね」
「今は術後の予後観察の期間なので・・・」
ナースはちらちらときららの顔を見ながら教えてくれます。

 

ナースの言う事は回答になっていないのですが、それ以上にその態度の方が気になります。
「・・・私の顔、何かついてます?」
さすがに我慢しきれなくなって聞いてみても、ナースはそそくさと退散してしまいます。

 

わけが判らないので「変な人」で済ませるきらら。
それよりもナースが言った予後観察という言葉の方が気になります。
きららの身に覚えのない手術。本当に私は助かったんだろうかという疑問の方が強くなります。

 

後から見れば貴様は死体だが、命に別状はないといったカスミの言葉の意味が分かりますが、この時点ではきららにそれを知るすべはないのです。
そもそも、家事の瞬間から目が覚めるまでの記憶がすっぽりと抜け落ちているのです。
手掛かりを求めてネットで情報を探すきらら。

 

そうしているうちに、きららアンチスレにたどり着いてしまいます。
そこには早く売れなくなって脱げ、顔と胸だけといった罵詈雑言や、きららのコラ写真まで投稿されていたのです。
そして、きららに一番効いたのは、声はいいけど歌はうまくないという一言でした。

 

 

私は・・・「アイドル」として成功してやるんだ・・・
きららがもっと小さかったころ、街角のディスプレイで歌うアイドルの姿が映し出されていました。
きららはそれをじっと見つめるだけ。
きららの母親は失踪していまし帰るところがなかったのです。

 

ぼーっとディスプレイのアイドルを眺めるだけのきらら。
そこに後ろから男がぶつかってきます。
その男は娘を亡くして失意のまま歩いており、きららにぶつかってしまったのです。
男は転んだきららに絆創膏を渡しながら
「おじさん、ひとりぼっちなんだ・・・」
とつぶやきます。
「私と、おんなじ」

 

「もみじさんにとってアイドルとはなんですか」
「アイドルはファンに笑顔を送り、自分も笑顔にしてもらう。そうやって笑顔を広げていく仕事だと思います」
該当ディスプレイから流れてくるアイドルのインタビュー。

 

「・・・私もこの人と同じになればおじさんみたいな人を笑顔にできるのかな・・・?」
ぼそっと呟いたきらら。
それは男に向けたものではなく、自分自身に向けられたものでした。
しかし、同時に男には亡くした娘と被ったらしく、あるものを取り出してきららに渡してくれます。

 

それは、男の名刺であり、肩書は芸能事務所のマネージャーでした。
個の男こそが今のきららのマネージャー成田吾郎だったのです。

 

成田さんがいたから今の自分がある。
だから、私は・・・成田さんに恩返しをするんだ

 

想いに駆られ、すぐにでもレッスンを再開しようとするきらら。
まずは成田さんに連絡を入れて・・・

 

実はちょうどその時、当の成田はきららの病室のすぐ前にいました。
お見舞いの品を持ってきたのですが、きららとナースのやり取りも聞いていたようです。
(あの魔女・・・死んだ事実も改ざんできるのか)

 

成田はきららの記憶が火事の前後でなくなり、世間のニュースは復帰に向かっているとなっていることに驚いていたのです。
確かにカスミは死んだときの記憶はあいまいになるといっていました。
「もしかすると、あの事も忘れているのか?」

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 2話レビュー

とりあえず復活した明星きららですが、どうも様子がおかしいですね。
確かにカスミは完全な蘇生はないと言っていましたが・・・
死体だが、命に別状はないってどういう意味なのかまだよく判りませんね。

 

ただ、事実としてきららは蘇生していますし、世間的にもニュースがすり替わっています。
貴様は死体だが、命に別状はないの第1話では夕陽ニュースで「死亡」となっていたのですが、
2話では同じ夕陽ニュースで「経過は良好」に変わっているのです。
病院のナースも反応がおかしかったとはいえ、きららが生きていること自体には疑問を持っていないようでしたし。
そして、ナースの微妙な反応こそが貴様は死体だが、命に別状はないの核心に迫るもののような感じですね。

 

恐らく第3話ではそのあたりの秘密が判るのではないでしょうか?

 

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