貴様は死体だが、命に別状はない。 3話ネタバレレビュー

貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希】

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著者:岩葉純希

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 (3話ネタバレ)

第3話

アイドルのできない身体

 

魔女カスミによって蘇生されたきらら。
きららのいる病室にお見舞いに行った成田ですが、事故前後のきららの記憶があいまいになっている事に驚きを隠せません。
(もしかしたら、あのことも忘れているのか・・・?)

 

「あのこと」とはきららが死ぬ直前に、成田が後悔しきれないほど酷いことをきららに言ってしまった事です。
そして、成田がきららの蘇生を願った直接的な原因でもあります。

 

「あのこと」を忘れているのでは・・・と不安になる成田。
それをこっそりと監視する蘇命庵の赤音。
実は赤音はカスミの命を受けてきららの監視にやって来ていたのです。
カスミによると、カスミの黒魔術は幽世より呼び戻したきららの魂をかりそめの肉体に縫い付けるもの。
仮初の肉体はきららの死体(遺骨)から作ったものですが、ニセモノであることに違いはありません。
縫い付ける糸が綻びてしまえば、魂は「屍魂」となるというのです。
これが貴様は死体だが、命に別状はないということの真相のようです。

 

赤音はその兆候が現れたらすぐに連絡しろと言って赤音を偵察に出したのです。
とはいえ、最近カスミのところで働き始めたばかりの赤音に「屍魂」になる長江の見分け方なんて判りません。
仕方なく、ただ見張っているだけなのです・・・

 

一方、きららはそんなことは知る由もなく、すぐにでもレッスンを再開したいと成田に電話をかけます。
きららが電話をかけると呼び出し音は病室のすぐ前から聞こえてきます。
成田はお見舞いに来る直前だったので当然ですが。

 

「成田さん、そこにいるのですか?」
何故入ってこないか訝しがるきらら。
成田もこれで覚悟を決めて、きららが「あのこと」を忘れていようがいまいが自分のするべきことをすることにします。
意を決して病室に入る成田。

 

そこで成田が見たものは、驚愕に値するものでした。
「お疲れ様です!成田さん」
満面の笑みで成田を迎えるきらら。

 

しかし、成田はその100分の1も笑う事ができません。
ただ茫然と立っているだけです。
その態度を不信思ったきらら。
貴様は死体だが、命に別状はない第2話の看護婦の態度と言い、どうも納得がいかないのですが、その理由はすぐに思い知ることとなります。
成田が持ってきたお見舞いに金属の箱がありました。
恐らくクッキーでも入っているのでしょうけど、その箱が鏡のようになってきらら自身を映し出したのです。
そこに映し出されたきららはケロイドだらけで片目も潰れた状態。

 

とてもアイドルとして人前に立てる状態ではなかったのです。

 

「きゃぁぁ!!」

 

自分のあまりの姿に悲鳴をあげるきらら。
その悲鳴を聞いて監視していた赤音も病室に飛び込みますが、赤音も成田と同じくフリーズしてしまいます。
赤音はきららの大ファンであり、そのショックはかなりのものだったでしょう。

 

 

場所は変わって蘇命庵。
アプリコットをつくっているカスミとそれに話しかける頭蓋骨(フラン)が話をしています。
「マスター、君はひどい奴だね」
「彼女を蘇らせた時点で全てわかっていたんだろう?」
フランは何故赤音に本当の事を教えてやらないのかと聞いてきます。

 

カスミはきららの身に起こったことを知っているのですが、あえて黙っていたようです。
「口で言っても理解できないだろうし、百聞は一見に如かずと思ってな」
邪悪な笑みと共に赤音に試練を与えたわけを話すカスミ。
貴様は死体だが、命に別状はない第1話で見せた温和なカスミとはうって変わって、まさに魔女の貫禄を見せます。

 

そして、カスミ自身も駆らなずほころびはうまれると確信していました。
だからこそ赤音を監視につけたのです。

 

 

図らずとも成田に自分の本当の姿を見せつけられてしまったきらら。
そのとき、火事の本当の理由も思い出してしまいます。
実はきららは医者から「芸能活動を続けるのは無理だ」と言われるほどの重病を患っていました。
その事実を受け入れられないきららはレッスンスタジオにガソリンをまき、炎に包まれながらライブを行ったのです。
「そうだ・・・私は・・・自殺したんだ」

 

 

 

成田が蘇命庵できらら蘇生の契約をした折、カスミは「完全に元通りにはならない」と言っていました。
成田もそのことは理解していたつもりだたのですが、まさかこんなかたちであらわれるなんて・・・

 

一瞬カスミの悪意かと思いましたが、蘇生させたカスミ自身も驚き「死神(ゲーデ)よ、やはりあなたは意地悪なやつだな・・・」とつぶやいています。
どうやらカスミにすら手の届かないところで仕組まれた罠だったようです。

 

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 3話感想

蘇生されたきららですが、魔女カスミでさえ驚くほど酷い姿で蘇ってしまいました。
「死神よ、やはりあなたは意地悪なやつだな・・・」といった理由も頷けます。
病気でアイドルとしてやっていけなくなったから自殺したのに、復活しても今度は人前に立てる姿ではなくなっていたのです。
その事を思い知らされたきららですが、さらに自殺の原因についてもはっきりと思いだしてしまいます。
まさにダブルパンチもいいところです。
貴様は死体だが、命に別状はない。第2話できららの悲惨な過去が明らかになりましたが、現在進行形で酷い状況です。
それは成田も痛いほどわかるのでしょう。成田がきららを見たときの表情がかなりきついです。希望に満ちた状態から絶望のどん底に落ちた感じです。

 

で、カスミはそれを見て嗤っているかというと、そういうわけではなく、同情しているようです。
魔女というからには冷酷かと思いましたが、結構ねはいい人のようです。
ただし、赤音に関してはかなりスパルタですが・・・
絶望と突き付けられたきららがどうするのか貴様は死体だが、命に別状はない。 第4話に期待ですね。
ちなみに4話のタイトルは「アフターサービス」です。
アフターサービスというからにはカスミが何かやってくれるような気がしなくもありませんが、あまり期待できないような感じもします。。。

 

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