貴様は死体だが、命に別状はない。 4話ネタバレレビュー

貴様は死体だが、命に別状はない。【岩葉純希】

▲無料立ち読みはこちら▲

 

著者:岩葉純希

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 (4話ネタバレ)

第4話

アフターサービス

 

あの火事から蘇生した人気アイドル明星きらら。
しかし、その身体はアイドルとして活動するには耐えられないものでした。
その事実を知ったきららは病室から逃げ出してしまいます。

 

「何!?逃げ出した?」
きららの監視に着けていた赤音からその事実を聞いた魔女カスミ。
「けど、どういうことだよ。きらりんのあの姿は!?」

 

赤音も想定していなかった事態が立て続けに起こって混乱しているようです。
必死にきららを追いかけながら、ことの真相をカスミから聞き出そうとします。
しかし、カスミはその質問を軽く流し、自分が到着するまできららを刺激するなとだけ命じます。
「・・・屍魂になってしまうぞ」
電話の最後にぽつりとつぶやいたカスミ。

 

もっとも赤音は屍魂が何であるのかさえ分かっていません。
電話口で喚いている赤音を無視して電話を切るカスミ。
そこにちょっかいをかけるように話しかけてきたのはしゃべる頭蓋骨・フランでした。

 

カスミによると、蘇生したものがどうなろうと知った事ではないが、今回は赤音の研修を兼ねての特例だそうです。
「それに・・・コイツが尻尾を出すかもしれないしな・・・」
カスミの視線の先には戯曲「マクベス」の本の上に置かれた「蘇命庵」の名刺でした。

 

 

「おい、きらら、待て!」
一方で逃げるきららを必死に追いかける成田と赤音。
きららは病み上がり(というか蘇生したて)なのに成田が追い付けないほどの速さでどこかに向かっています。
追いかける成田の脳裏に浮かぶのは、きららがデビューする前の事。
「アゲハ唄?」
「そう!デビュー曲の曲名!わたしと成田さんで作詞した曲だから相談しようと思って」
成田としてはあくまで協力しただけなので、きららの唄だといおうとしたのですが、興奮したきららはそんなことは聞いてくれません。
「ね、ね、ドームとか武道館でいつか一緒に歌おうね!!」

 

きららにとってはドーム公演はデビュー前からの夢だったのです。
あの時「一緒にアゲハを目指そう」と約束して二人三脚で頑張ってきたのに・・・
ようやくドーム公演が決まったころきららの病気が発覚します。

 

「療養に専念していただくことになります。芸能活動はもう・・・」
医者から受けたのはきららにとっては死刑宣告にも等しいものでした。
それでも夢のドーム公演に向けてレッスンを続けようとするきらら。

 

「私はアイドルなの!みんなを笑顔にできなくなったら、もう生きている価値なんてないの」
それを見た成田は絶対無理だと断言するのですが、きららは泣きながら
「私を最期までアイドルでいさせて」とお願いしてきます。

 

成田は苦虫をかみつぶした顔で
「・・・絶対にレッスンに参加させるな。ステージにもだ!」
「成田さん・・・」
これがきららの死の直前に起こったことであり、成田の後悔の元でした。

 

そして、逃げるきららが向かった先は、ドームでした。
ドームの真ん中に立ち、ぽつりとつぶやくきらら。
「思い出した。そう、私は死んだ。自殺した」
「成田さん、あなたの仕業何でしょう。何も言わないってことは」

 

ひとり、言葉をつづけるきららを成田は止める事ができません。
「確かに私は自殺した。どんな手品を使ったかは知らないけれど」
「今、私はここにいる。アイドルとは縁遠い醜い姿で・・・」

 

絶望したかのようにつぶやくきらら。
その瞬間、きららの顔に新たな傷が生まれます。
(まさか、これが・・・)

 

成田の脳裏によみがえったのは魔女カスミが言った「屍魂」のことでした。

 

 

貴様は死体だが、命に別状はない。 4話感想

自分の現在の姿を知ってしまったきらら。
貴様は死体だが、命に別状はない。 2話で看護婦がビビっていたのも納得の姿なのです。
もうアイドルを続けられない。その事実に絶望したきららは病室を飛び出し、夜の街に逃げ出してしまいます。
さすがにこれだけの想い事実をいきなりつきつけられたら明星きららでなくても逃げ出したくなると思います。
そして、きららが向かったのは憧れの場所であるドーム。
やっぱりどこまでもアイドルでいたいと思っていたのですね。

 

ドームにたどり着いたきららは冷静さを取り戻し、自分の状況を再整理するのですが、導き出されるのはやっぱり絶望。
ただでさえ「命に別状はない」という程度の不安定な存在であるきららにとって、受け止めることはできなかったようです。
貴様は死体だが、命に別状はない。第5話では屍魂化したきららが暴れだしそうな感じです。
4話のラストにちょっとだけ次回予告があるのですが、屍魂になったきららは原型をとどめておらず、きららの夢や苦悩をごちゃまぜにしたモノに変貌してしまっています。

 

貴様は死体だが、命に別状はない。ネタバレはこちら>>

 

 


inserted by FC2 system